部会の紹介
建交労と一緒に実現しよう、まともな賃金。なくそう、長時間・過労運転
このままでは深刻なドライバー不足に
トラック輸送は、物流の主役として国民生活になくてはならない役割を果たしています。
一方で、規制緩和による過当競争、環境対策のための車両代替え、燃料代の高騰で経営が圧迫されています。また、一部荷主による運賃・料金の強引な値引き、着時間指定など無理な発注条件の押しつけによって「もう限界」の状態です。その結果、ドライバーの低賃金・長時間労働、過積載・過労運転、スピード運行をひきおこし、後を絶たない重大事故の要因となっています。
それだけではありません。他産業に比べ労働条件が低い(*)トラック輸送では、今後、深刻な人手不足、ドライバー不足が心配されています。
(*)トラック運送事業の月間労働時間は188.3時間で、全産業平均の150.2時間に対し、38.1時間長い。平均月間収入は304,781円で、全産業平均の334,910円に比べ30,129円低い(2005年、事業規模5人以上)。
賃金・労働条件の改善が、安全輸送を保障する
建交労は、トラック業界から長時間・過労運転、重大事故をなくすためには、働く人の賃金・労働条件を全産業水準に引き上げることが欠かせないと訴えています。適正運賃収受・公正取引の実現、軽油引取税暫定税率増税分(7円80銭/リットル)撤廃・延長反対など一致する要求では経営者とも協力して、政府や業界・荷主団体に働きかけています。
労働局も労働条件改善を要請
トラック協会による行政への働きかけや建交労トラック部会の要請(*)が実を結び、労働局・運輸局による荷主団体への「道路貨物運送業における労働条件の改善等のための協力要請」が06年11月以降、46都道府県(沖縄県以外)で発出されました。このことで、改善基準告示や発注条件面での荷主団体側の理解が広がり、事業者が運賃の引き上げ交渉をすすめやすい環境がつくられています。
トラック労働者にも人間らしい生活を――こんな声を強く大きくするため、あなたもご一緒に立ち上がりませんか。
(*) 建交労は、関係省庁に対し、荷主の発注条件がトラック輸送の労働環境に大きな影響を与えていると指摘し、「経済団体や荷主・業界団体に対し、運送事業者の経営のみならず、労働者の生活が担保される取引対価となるよう指導するとともに、健康・安全が担保されるよう労働時間と労働者の安全確保を指導すること」「改善基準告示の遵守を周知・徹底すること」を要求してきました。
制度・政策
トラック運転者なら誰でも年収500万円以上を
わが国の経済や生活にとって欠かすことのできない産業であるトラック運輸産業の年収は、全産業水準の年収502万円と比べ普通運転手で130万円もの差があります。全産業とトラック運輸産業の年収の格差は一時金の年間支給額も大きく影響しています。年間一時金で30万~47万円もの開きがあります。
生涯賃金で言えば退職金も含まれます。トラック運輸産業の退職金支給額は、全産業水準の半額程度と推測されています。トラック運輸産業の賃金体系は固定給よりも変動給の割合が高く、変動給の内訳で見ても歩合給の占める割合が高いことです。
全産業水準との格差をなくす為には、大幅賃上げを実現することとあわせ、固定給を中心とした賃金体系に改善することが必要です。
具体例:35才、運転手歴15年、勤続年数10年、家族:妻と子2人の場合
基本給 |
24万円 |
基礎給+年齢給+勤続給 |
---|---|---|
諸手当 |
5万円 |
班長手当1万、家族手当2万、その他2万 |
時間外 |
6.1万円 | 残業20時間=4.3万、休日8時間=1.8万 |
計 |
35.1万円 |
|
年計 |
421万円 |
35.1万×12ヵ月=421万円 |
年間一時金 |
87万円 |
(基本給+諸手当)×3ヵ月 |
年収計 |
508万円 |
※ 勤続30年1,500万円以上の退職金をめざします。
労働時間短縮を実現し、長時間・過労運転を解消するために
トラック運転者には、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(7号告示)により、拘束時間、休息期間、運転時間などの規制が設けられています。しかしトラック労働者の長時間労働を維持する有力な根拠となっており、抜本的改正が必要です。
その際、ILO第153号条約(日本は未批准)や過労死認定基準などとの関連から抜本改正を求めることです。
①拘束時間の大幅短縮を
1ヶ月293時間、1日原則13時間、最大16時間の拘束時間は、週40時間、1日8時間の法定時間や時間外を定める告示にある4週43時間と比較して異常な長さです。他産業の規制並みに短縮します。国土交通省が了解をしている6日間出っ放し運行(一運行144時間)は、早急に撤廃を求めます。
②休息時間、休憩時間の改正を
休息・休憩が決められた通りの実施ではなく、仕事の都合で一方的に決められています。現在8時間以上と規程されている休息期間は11時間以上とし、本人の居住地以外での休息の場合は厳しく制限すること。事前の休息・休憩時間を明記し、変更は基本的には認めないものとします。
※ご注意を 「手待ち時間」は労働時間です
業界内では待機時間=休憩時間との意識が強く、トラックを離れる事の出来ない状況時も休憩時間としている事業者も多くありますが、荷物の積み下ろしにおける手待ち時間は労働時間かどうかが争われた裁判で、横浜地裁相模支部は2014年4月24日に、「待機時間を労働時間と認める」判決を下しました。
私たちは安全・安心なトラック輸送をめざして
政府に対して次の要求をかかげ運動しています。
●厚生労働省への要求
・「改善基準告示」の抜本的見直しによる拘束時間・運転時間の短縮、および「労働時間」の明確化と時間規制。
・1日の拘束時間は11時間まで、最大でも13時間までとし、1か月の拘束時間を252時間まで。
・休息期間は13時間以上を原則とし、最低でも11時間以上。
・車輌ベッドでの休息は認めない。
・「改善基準告示」を法制化し、労働基準法に明文化。
●国土交通省への要求
・「一の運行144時間」を撤廃し「改善基準告示」を厳正に遵守する運行義務付け。
・トラック労働者の労働時間・運転時間の明確化と安全運行のために、「運行記録計」の装着を営業車輌全車種に義務化。
トラック政策(2022年版)
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